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【無料G検定学習】1章:人工知能(AI)とは

更新日:6月12日


【無料G検定学習】1章:人工知能(AI)とは

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■人工知能とは

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・人工知能とは何か

・人工知能(Artificial Intelligence)の概要

「人工知能」は、1956年に開催されたアメリカのダートマス会議にて、研究者ジョン・マッカーシーによって初めて名付けられた言葉です。この会議を起点にして、人工知能は学術的な研究の領域として認知されるようになりました。


基本的に「人工知能」とは人間と同等の知的な処理能力を持つ機械や情報処理システムを指します。多くの研究者はこの点において同意見を持っています。しかし、その詳細な定義や範囲については、一致した意見が存在しないのが現状です。


・人工知能の定義に関するポイント


  • 「知性」と「知能」の定義の不在:何をもって「知性」や「知能」とするかに明確な定義が存在しないため、人工知能の解釈は研究者ごとに異なる。

  • 人間の脳機能の再現の必要性:人工知能を実現するにあたって、人間の右脳や左脳の機能を完全に模倣することが必要なのかという問題が浮上している。

  • 感情や価値観の取り扱い: 人工知能において、感情や価値観、パーソナリティーなどの人間特有の要素が必要かどうかは、議論の中心となっている。

  • 専門家による異なる定義

  • 長尾真(京都大学名誉教授): 「人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステム」と定義

  • 松尾豊(東京大学教授): 「人工的につくられた人間のような知能、もしくはそれを作る技術」と定義


結果として、1つのシステムに対しても、それを「人工知能」と認識する人と、そうでない人が存在するのは当然のことと言えます。



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・人工知能のおおまかな分類

・人工知能の大まかな分類についての概要

人工知能は、専門家によってさまざまな定義が存在する複雑な領域であり、そのため一般の人々にとってもイメージが明確でないことが多いです。

しかし、一般的に想像しやすいものとしては、掃除ロボットや自動運転車など、自らの判断で行動するものや、周囲の状況に応じて動作を変えるものが挙げられます。

『エージェントアプローチ人工知能』という書籍では、このような状況応答型の行動を持つプログラムを「エージェント」として定義しています。


ここでは、人工知能を大まかに4つのレベルに分類し、それぞれを詳しく解説します。


・各レベルにおける人工知能のポイント

  • レベル1: シンプルな制御レベル

    • 特徴: 事前にプログラムされた単純な動作を実行する製品。

    •  例: エアコンの温度調整や洗濯機の水量調整。

    • 背景: これは古くからの制御工学やシステム工学の技術をベースにしている。


  • レベル2: 古典的な人工知能

    • 特徴: 探索・推論や知識データを活用し、状況に応じて複雑な動作をする製品。

    •  例: 掃除ロボットや診断プログラム。

    • 背景: 人工知能の研究は、このレベルの技術をベースに始まった。


  • レベル3: 機械学習を取り入れた人工知能

    • 特徴: 大量のサンプルデータを基に、入力と出力の関係を学習する製品。

    •  例: 検索エンジンや交通渋滞予測。

    • 背景: パターン認識の研究を基盤としており、ビッグデータの時代を迎えて急速に進化している。


  • レベル4: ディープラーニングを取り入れた人工知能

    • 特徴: 自動的にデータの重要な特徴量を学習する製品。

    •  例: 画像認識や音声認識、自動翻訳。

    • 背景: 特定の特徴量が重要であると知っている場合、効率的に学習が進められます。近年では、囲碁や将棋のような高度なゲームでの応用も進められている。


このように、人工知能はその機能や応用範囲によって複数のレベルに分類され、それぞれが特有の特徴や背景を持っています。



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・AI効果

・AI効果についての概要

人工知能によって何らかの新しい成果が達成された際、その仕組みが理解されると「それは単なる自動化であって、真の知能ではない」と感じる人が多いのです。

このような人間の心理的な反応を「AI効果」と称しています。


実際には、機械がある特定のタスクを達成したとしても、それが人間の知能とは異なるものであると感じてしまうのです。その結果、時代の流れとともに「人工知能」というイメージや定義が変わってきました。

・AI効果のポイント

  • 人間の心理: 人工知能によって新しい成果が出たとき、そのメカニズムが明らかになると、人々はそれを「知能」と認識しづらくなる傾向がある。

  • 知能の定義: 以前は人間特有の知能と考えられていたことが、技術の進化により機械でもできるようになると、その範疇から外れると感じられることが多い。

  • 時代の変遷: AIの技術が進化することで、「人工知能」という言葉のイメージや認識も変わってきた。何が「真の知能」とされるかは、時代や技術の進展によって変わる可能性が高い。

  • AI研究者の意見: このAI効果のため、多くのAI研究者によって人工知能の実際の貢献や可能性が過小評価されている。


AI効果は、技術の進歩とともに変わる人々の知覚や価値観を示しており、私たちが「知能」とは何か、またその定義について常に再評価する必要があることを示唆しています。



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・人工知能とロボットの違い

・人工知能とロボットの違いの概要

人工知能とロボットについては、人々の間で2つの用語が同じものを指すかのように認識されていることがあります。


しかし、専門的な観点から見ると、これらは異なるものとして認識されています。

簡潔に述べると、ロボットは物理的な体を持ち、動作する機械であり、その動作を制御する「脳」の部分が人工知能として機能します。


人工知能は必ずしもロボットの中だけで存在するわけではなく、さまざまな場面での知的な処理能力を研究する分野として捉えられます。

・人工知能とロボットの違いのポイント

  • ロボットの「脳」:ロボットが動きや動作をする際の指示や判断を行う部分が「人工知能」に該当。

  • 人工知能の独立性:人工知能は、ロボットの脳としての役割だけに限らず、さまざまなアプリケーションやソフトウェアの中での知的な処理能力を持つものとして研究される。

  • 物理的な身体の必要性:例えば、将棋や囲碁のようなゲームのAIでは、物理的な体は必要とされません。この点からも、人工知能とロボットは別の存在であることがわかる。

  • 研究の焦点:ロボットの研究は物理的な動作や振る舞いを中心に行われるのに対し、人工知能の研究は知的な処理や判断を中心に扱っている。


人工知能とロボットは、それぞれ異なる焦点を持ちながらも、連携することでさまざまな技術や応用が生まれています。この違いを理解することで、それぞれの特性や可能性をより深く掴むことができます。



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■人工知能研究の歴史

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・世界初の汎用コンピュータ

・世界初の汎用コンピュータの誕生の概要

1946年、アメリカのペンシルバニア大学で歴史的な瞬間が訪れました。その名も「エニアック(ENIAC)」という電算機の誕生です。


このエニアックは、実に17,468本の真空管を使用した圧倒的な計算能力を持つ電子式コンピュータであり、それまでの計算機とは一線を画す存在でした。

このエニアックの登場により、人々はコンピュータが未来にどれほどの影響をもたらすか、その可能性を強く感じるようになりました。

・世界初の汎用コンピュータの誕生のポイント

  • 真空管の使用: エニアックは17,468本の真空管を活用して作られた。この数の真空管がもたらす高い計算能力が、当時の技術革新として注目された。

  • 汎用電子式コンピュータ: エニアックは特定のタスクだけでなく、さまざまな計算作業に対応できる汎用性を持っている。これは後のコンピュータ発展の礎となった。

  • コンピュータの未来の可能性: エニアックの誕生により、コンピュータが人間の能力を凌駕する日が来るかもしれないという予感や期待が、専門家や一般の人々の中に広がった。

  • 技術の進化のスピード: この頃からコンピュータの進化は驚異的なスピードで進んできた。エニアックの登場は、そのスタートラインとも言える重要な出来事だった。


エニアックの誕生は、コンピュータ技術の歴史において非常に重要な節目です。

このマシンの開発背景や、それがもたらしたインパクトを理解することで、現代のコンピュータ技術の進化をより深く感じ取ることができます。



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・ダートマス会議

・ダートマス会議の概要

1956年、エニアックの誕生から10年後、アメリカで「ダートマス会議」という特別な会議が開催されました。この会議は、後の人工知能の歴史を大きく左右する出来事となりました。

ここで初めて「人工知能」という言葉が用いられ、その可能性についての議論が交わされました。

マーヴィン・ミンスキーやジョン・マッカーシーなど、後にこの分野で活躍することとなる著名な研究者たちが集結し、その知識と情熱を共有しました。


特に注目されたのは、ニューウェルとサイモンによる「ロジック・セオリスト」のデモンストレーションで、それはコンピュータが単なる計算機ではなく、複雑な思考を模倣する能力があることを示すものでした。

・ダートマス会議のポイント

  • 人工知能の名付け親: この会議で初めて「人工知能」という言葉が登場。

  • 著名研究者の集結: マーヴィン・ミンスキー、ジョン・マッカーシー、アレン・ニューウェル、ハーバート・サイモン、クロード・シャノンなど、この分野で後に重要な役割を果たす研究者たちが参加。

  • ロジック・セオリストのデモンストレーション: このデモンストレーションは、コンピュータが四則演算以外の複雑なタスクもこなせる可能性を世に知らしめた。

  • 数学の自動証明: コンピュータを使って数学の定理を自動的に証明することができるという事実は、当時のコンピュータ研究において革命的だった。


ダートマス会議は、現代の人工知能研究の礎を築いた重要な出来事です。

この会議を通じて、多くの研究者たちが人工知能の可能性に目を向け、その研究を進めるきっかけを掴みました。



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・人工知能研究のブームと冬の時代

・人工知能研究のブームと冬の時代の概要

人工知能の研究は、数十年の間に数回のブームと冬の時代を経験してきました。

この変動は、新しい技術や発想の出現による期待と、それに続く困難や制限の認識による失望のサイクルとして捉えられます。


この歴史を紐解くことで、人工知能の進化とその背後にある社会的・技術的背景を理解することができます。特に、第1次から第3次のAIブームは、それぞれの時代の焦点となった技術や研究の違いが鮮明に現れています。

・人工知能研究のブームと冬の時代のポイント

第1次AIブーム(推論・探索の時代:1950年代後半~1960年代)

  • 主な焦点: コンピュータの「推論」や「探索」の能力

  • 成果: 一部の簡単な問題の解決

  • 課題: 複雑な現実の問題への対応の困難

  • その後: 1970年代に研究の冬の時代に突入


第2次AIブーム(知識の時代:1980年代)

  • 主な焦点: コンピュータへの「知識」の蓄積

  • 成果: 「エキスパートシステム」の登場と「第五世代コンピュータ」プロジェクトの推進

  • 課題: 知識の蓄積と管理の難しさ

  • その後: 1995年ごろ再び冬の時代へ


第3次AIブーム(機械学習・特徴表現学習の時代:2010年~)

  • 主な焦点: ビッグデータの活用と機械学習、特に「ディープラーニング」の実用化

  • 成果: AlphaGoの勝利など、多数の象徴的な成功例

  • 期待: 人間を超える超知性の誕生の可能性


・各ブームの相互関連性

各ブームの技術やアイデアは独立しているわけではなく、前のブームの技術や考え方が後のブームにも影響を与えています。

第1次の推論や探索の技術は、現在も継続される重要な研究として存在しています。


これらのブームと冬の時代を通して、人工知能の研究は常に進化し続けていることがわかります。過去の研究が現代の技術や発想の基盤となり、新しい発見や革命的な進歩へとつながっています。



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